そのため口の中の「硬い歯」だけを対象とした、非常に狭い診療領域の職人学校のイメージが今なおついて離れない状態です。
歯科大学を卒業して歯科医師になってみたものの、知識が歯科学のみに集中し、患者の全身のことなどサッパリわからず、脈のとり方も知らなければ血圧の測り方もわからず、たとえ測ったとしてもそれがどのような意味をもつことすら知らず、全身的医学常識などは一般の人々より劣っていたのではないかと思います。
当時はそれでも一応成り立ち得たのです。それは歯科受診するのは健常人がほとんどで、高齢者の受診は少なかったからです。また、合併症を持つ人も今ほど多くなかったのです。
近年は患者の生活習慣病や高齢化が進み、合併症をもつもの、服用薬を受けている者が多く、患者の全身状態の観察無しには診療着手が難しくなってきているのが現実です。


