
医学部から歯学部の麻酔に移籍してきた医師などから、歯科医は全身管理能力が弱い、とか、劣るなどといわれることがあります。それを否定はいたしませんが、これは歯科医の責任ではありません。教育カリキュラムによるものなのです。
いままでの歯学部の教育は窩洞形成や人工歯排列、クラスプベンデングなど保存、補綴の実習に大半を費やし、局所処置のみに集中し全身との関連を考えて来なかったのです。
これからは絶えず口腔領域と他臓器との関連を考えた教育が必要であり、全身管理の医学、生理学知識が求められてきております。
それには臨床に直結する麻酔、蘇生学の習得がぜひとも必要になってきております。これからの学生にはポリクリ実習前に歯科の講義や実習など一切やめ、1年間くらい麻酔蘇生学の講義や実習のみの学習を提唱したいと思います。
将来、「顎口腔分野を担う医師たらん」という想いを持たせる事が必要だからです。また、全身から口腔を診ると、その位置関係がよくわかるからです。麓から高い山を見ても全体像がよくわからないことが多いが、山の頂に立って麓を見ると全体の中のどの位置にあるのがよくわかる事と同じだと思います。

